時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人の家造り

土壁、土間、いろり、かまど、高床、石の上に立てた柱、雨戸と戸袋、敷居、引き戸の玄関、
「のうじょう真人」の自然にある物を使って、住み易い日本家屋を造りたい。ここ数年の私達の夢でした。家を建てる幾つかの候補地も決めていました。でも、どんな小さくても2間×3間(1間1.818m)は必要です。すると芽を出した木、生きている木を切らなければ場所が確保出来ません。
「どうしよう・・・」
そんな時、今は物置として使っている前の住人が建てた掘っ建て小屋を見て、夫が叫びました。
「そっかあ!ここを家に改造すればいいんだ」
思い立ったが吉日です。夫は翌日から早速作業を始めました。腐りかけた床をはがし、土に割れた焼き物を埋め込み地ならしをし、300m離れた砂地からリュックに詰めて何往復もして運んだ砂を敷き、根気良く地固めをしました。そこへ乾草を敷き詰め、今は粘土をバケツでせっせと運んでいます。
開始から1ヶ月、他の仕事と平行しながらの家造り。勿論未経験。ただ救いは、建具職人の義父が2年ここで同居して、息子(夫)に道具を残し技術を教えていった事、ここの自然、木の性質を知っているので、電話で的確なアドバイスを与えてくれる事です。
尊敬する法隆寺宮大工、故西岡常一氏の「木に学べ」、自然農法、福岡正信氏の「自然に還る」
これらの言葉の持つ意味を噛み締めながら、何年かけてもいいから、誤魔化さない家造りをしていくつもりです。