時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人 晴れた日の冬の朝

ザシッ、ズサッ、ザクッ、
ああ、あの音を何と表現したらいいのでしょうか
1年の内で、この季節にだけ聞き、感じる事の出来る音。
早寝早起きの私達は、隣人達の夕食の始まる22:00には、深い眠りの中にいます。でも6:00には起き出し、焼きたてパンとマテ茶の朝食をゆっくり取ります。そして、そうじ洗濯を終え、辺りが明るくなる9:00過ぎ、3匹の犬と見回りを兼ねた散歩に出かけます。私は1日のうちで、この時間が特に好きです。うるさく響くチェーンソーや車の音、隣人の垂れ流すロックやラジオの音、私の苦手なそれらの音は消え、風や木や鳥の、心に浸み通る音を感じる事が出来るからです。
特に雨の後の晴れた早朝は、ピリピリと生まれたての冷たい空気の中で、歩く度にザシ、ズシと霜柱が心地良い音を響かせてくれます。
踏み出した足の下で、右か左か、前か後か、霜柱がどちらに崩れるか楽しみながら、
。犬達と争うように進みます。せっかく綺麗に立ち上がった小さな氷の柱を(壊すのは、もったいないなあ)と思いつつも、私は「気持ち良い!」と子供の様に心を躍らせて、冬の贈り物の素敵な音を楽しんで歩いていきます。
アンデスの峰が朝日でオレンジ色に輝き、霜の降った草が宝石の様に虹色に光っています