時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「おめでとう ルンルン」

縁あって結婚式に招待されました。二人とも私の日本語の生徒さん。半年くらい前から「私たち結婚するの!」と嬉しそうに言っていました。
そして結婚式の前の授業の最後に「結婚式に家族で参加してもらえませんか?」と招待してくれたのです。
正直言って結婚式とか誕生日会とか人が多く集まり賑やかに過ごす場所は苦手で、何かと理由をつけては参加していませんでした。でも可愛い生徒さんの結婚式の招待を断る訳にはいきません。「嬉しい!是非行かせてもらうね。」と即答しました。
「家族みんなで来て。」と言われましたが、まさか犬猫を連れて行く訳にもいかず、一人寂しく行ってきました。
まず困ったのが服。結婚式と言っても式の後のパーティーだとは思いましたが、それでも普段着で行く訳にはいかず、思い切って上着は新調し、ブラウスは友人から借りました。
開始の12:30に会場の貸別荘へ行くと、今まで行った誕生会やクリスマスパーティーとは雰囲気が違い、みんながかなりお洒落して来ています。
知り合いもいないし、なんだか場違いな気がして気後れしてしまいました。でも生徒さんの家族が気を使ってくれ、話し相手になってくれたり、人を紹介してくれたりしました。こんな時陽気に話の輪に入っていければいいのですが、日本人の間でも苦手なのに、まともに会話も出来ないスペイン語の世界ではニコニコ壁の花になっている方がずっと気楽でした。
さて12:30と言われ時間きっちりに到着した私ですが、始まりは2:30。、
花嫁が飾り付けられた車に乗って登場。外に作った式場のバージンロードを父親と手を組んで歩きます。白い折り鶴で飾られた、新郎と神父の居るテントの中へ。
その時になって、単なるパーティーではなく、本格的な結婚式だと気付きました。
誓いの言葉やら、指輪交換やら、それは映画やテレビで見ているそれと変わりはありませんでしたが、とても暖かい優しい気持ちに包まれ、パタゴニアの田舎でこうして幸せのおすそ分けを頂いている自分が不思議に思えました。
アルゼンチンでも結婚式はいろんな形があるようですが、彼らの場合は本当に手作りの結婚式でした。会場は観光地の貸別荘の大広間を借切り、生バンドを呼んで、飾り付けも、料理も家族総出の手作りでした。心を込めるってこういう事なんだと思いました。
どんな高級レストランよりも綺麗で美味しく心温まるものがありました。
式の後はバイキング方式の会食。そしてその後は恒例?のダンスです。老いも若きも、男女ともに音楽に合わせてリズミカルに即興で踊ります。こういう場面はいつでも南米気質、陽気さを感じ羨ましいと思います。
日本で若かりし頃だって、ディスコやカラオケ、コンパが嫌いで行った事はなかったので、ダンスタイムが始まったら退散の時間と決めています。
パーティーはこれから、という6:30には早々と退散ですが、帰る挨拶をしに恋人達やその家族をまわると「来てくれてありがとう。」と抱きついて頬にキスしてくれました。
優しい人達。暖かく幸せな時間。
彼らのこの先続く時間が、いつまでも今日のように楽しく暖かく幸せでありますように。