時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「のうじょう真人自慢の“りんごピザ”」

りんごのピザ・・・・うえ〜〜と思われた方いらっしゃるかも知れませんね。でも 私の作るりんごピザはとても美味しいのです。今回はのうじょう真人でしか食べられない自慢のりんごピザの作り方を公開します。
作り方は簡単。先ずりんごの皮を水につけておきます。すると暖かいところでは一 日で発酵を始めます。その発酵りんご水と少々の油で小麦粉をねってパン生地を作り一晩寝かせます。朝、ふんわり膨らんでいるパン生地を薄く薄 ―く鉄板に伸ばします。この時、生地が透けるくらい薄くするのがコツです。そして暖かいところで30分くらい二次発酵をさせます。気持ち生地 が膨らんだら、その上に芯を取った四つ切りんごを皮付きで、ぎっしり敷き詰めます。重ねるくらいぎっしり敷き詰めるのが第二のコツです。そし て薪ストーブのオーブンでりんごの皮が焦げるまで焼くだけです。チーズはのせませんし、砂糖や塩などの調味料も使いません。ただしこのピザに 使うりんごは家の北100mのところにある、実をつけ始めて5年目の若いりんごと決まっています。
カリカリさくさくの生地の上でりんごの皮が柔らかく焼け、実はクリームのように とろけます。甘酸っぱい風味が口いっぱいに広がりいくらでも手が出ます。生地が薄いので、たくさん食べても食べすぎで胃がもたれることもあり ません。焼きたてが美味しいのは勿論、冷えてもまた美味しいのです。雑な私の性格上、りんごもぶつ切り並べ方も適当ですが、忙しい朝の時間に さっと作れることは大きな利点です。
でも、このりんごピザをこんなに「美味しい!!」と感じるのは、私だけでしょ う。なぜなら私はこのりんごが芽を出した時からずっと成長を見守ってきたからです。冬の寒さに耐え、春に花を咲かせ、果実を実らせるその全て の過程を毎日見守ってきたからです。
肥料や農薬とは無関係。それどころか剪定や摘花もしません。このりんごの木の成 長を見守り楽しむだけで、私は全く手を出しません。野性のりんごと言っても過言ではないでしょう。もっときちんと世話をして大きくて綺麗なり んごにした方が良いと思う方も大勢います。でも、りんごの思うまま自然のままに育った実の方が、私にはいとおしく美味しく感じます。
今秋、パタゴニアは果実や木の実が大豊作でした。我が家でもプラムやりんご拾い の日々が続きました。拾いきれずに鳥や野ねずみたちにかじられた実も多いです。種は全て大地に戻しました。
大地に眠る種たちが、春までに根をのばし芽をだすでしょう。そんな果樹でいっぱ いの農場を思うとき、とても楽しい幸せな気持ちになれます。