時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

楽しい事いっぱい!

今年は秋の終わり4月から、早朝はマイナスの気温になる日があったり、雪がちらついたりと寒い日が続きました。水道管をうっかり凍らせてしまった朝もあり、厳しい冬が来るだろうと誰もが想像していました。

夏に準備した暖房用の薪が、このペースだと春までもたないかも…と心細くなっていました。

ところが6月に入ってからは曇り雨のどんよりした日が続いていますが、日中の気温は8度から10度と、暖かい冬になっています。

薪ストーブも、人が来ない日は朝の豆腐作りを終わったら薪を足さずに過ごしています。

このまま暖冬でいてくれたら良いなあと思っていますが、寒さが厳しいのは7月8月。さて、どうなりますか?

コロナ以前は街で教室を借り、週2回日本語を教えていました。でも今はやっていません。時々教えて欲しいと連絡もらいますが、街で教室を借りてとか、家庭教師で家まで行ってという気力は無いので、我が家に来てくれるなら、と返事しています。

流石に不便で遠い我が家まで来られる人はほとんどいません。でも16歳の女の子と17歳の男の子が、それぞれ1時間半から2時間かけて歩いて週1回我が家に来てくれています。

このご時世、家でオンラインで私よりずっと良い先生に教えてもらえるのに、と思ってしまいます。だからこの子達の心に残るような勉強だけでない何かを伝えていけたらと思っています。

私はいつも授業の初めに、復習を兼ねて簡単な会話練習をします。

「今日は何月何日ですか?」

「昨日何時に寝ましたか?」

「おとといリンゴを食べましたか?」

こう言った質問にはスムーズに答えられるのですが、

「今夜何が食べたいですか?」

「大人になったら何がしたいですか?」

「先週何が楽しかったですか?」

と聞くと、黙って考え込んでしまうのです。なんでも良いよ。思った事を言ってみて。と促しても答えられません。私が

「今夜おにぎりが食べたい」

「子供の時、学校の先生になりたかった。」

「昨日友達が来て、楽しかった。」

と例を言ってもやはり黙っています。この子達に、こんな質問をする人は居なかったんだろうか?楽しいことって、当たり前の生活の中で見つける事はこの年齢ではまだ難しいんだろうか?といろいろ考えました。

「これから毎回、1週間で楽しかった事を聞くからね。教えてね。」

そう言った次の回、「お母さんとトランプして楽しかった。」

「きのこを取りに行った。」と返事してくれました。

「よかったね。楽しかったね。楽しいことって、毎日沢山あるんだから。」と言いつつ、自分も少し考え込んでしまいました。私だって、毎日どれだけの楽しい事を見つけられるんだろうかと。

冬になって家の中にいる事が増えて、1日誰とも会わない日もあって、毎日同じことの繰り返しの中で、いつのまにか以前ほど感動する気持ちが無くなっていることに気づきました。

1人でいる事は全く苦になりません。返って誰かといる方が緊張します。病気に対する不安もゼロではありませんが、余りありません。幸せだな。有難いな。と思いますが、心が震えるような楽しい事、感動する事が減っていました。だけど本当は減ってなんか居ないのです。それに気がつか無くなってしまっていたのです。

そう気がついて外に出たら、久しぶりに、本当に久しぶりに大きな虹を見ました。ああ、綺麗。この虹を見れて嬉しい。ここで生きている事が楽しい。

もっともっと楽しい事を見つけよう。もっともっと今を感動しよう。私を支えてくれている全てに感謝しよう。そう思いました。

可愛い生徒たち。気付かせてくれてありがとう。

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