時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「家族 猫編」

我が家の猫「福」は、毛並みも良く、顔もちょっときついけれど目鼻立のはっきりした美人さんで、性格も竹を割ったようにスパッとしていて、狩人で、行動的で、正直で、良いとこ尽くめの猫です。今年15歳になります。最近は遠出する事も少なくなり、食も細くなりましたが、まだまだ綺麗で元気です。
若い頃から福狙いのオス猫が時々やって来ていました。木の上に何匹も猫がいて、下を通った時ぎょっとした事もありますし、犬のパクが存命の頃は、パクと対等にやりあった強者もいます。またズーズーしいのは猫扉をくぐり抜け、家の中まで入って来ていました。たみちゃんや福結びがいた頃は、彼女達が怖がるのでオス猫を見つけたら、いつも脅して追い出していました。
気候が厳しいので野良猫は私の地区には存在しませんが、猫への関心が薄い人が多く、飼われていても名前のない野良猫の様な猫も多くいます。
去年のクリスマスくらいの頃だったでしょうか?真夜中や明け方、猫が来て福のご飯を空にしていくようになりました。決して姿は見せませんが、食べ終わるとお礼のつもりか、ダミ声で鳴きながら去って行きました。
特に害もないし、私も猫達が逝ってしまい寂しかったのでそのままにしておきました。それよりも、是非一目会いたいと思うようになりました。
その気持ちが通じたのか、日中窓の外から家の中を覗く姿を見る様になりました。最初は警戒して近づくと逃げてしまいましたが、根気良く声を掛けていたらだんだん慣れてきて、ついに触らせてくれる様になりました。そうしたらその後の進展は早く、直ぐに抱っこもさせてもらえました。
ずいぶん体温の高い猫で、雄だけあってずっしりと重かったです。微妙に「お臭い」があり、目やにや鼻○そが付いている時があって、決してハンサムとは言えませんが、愛嬌がありとても愛らしいです。
「にゃにゃ男」と勝手に名付けました。これだけ人に慣れているのですから、どこかの飼い猫には違いありません。でも我が家のキャットフードが気に入ったのか、福が余程好きなのか、ほとんど毎日通ってきます。時々は一日中家に居て座布団の上で寝ています。ゴロゴロ言いながら、すり寄ってきたり、膝の上に乗ってきたりもします。この間は温順しく爪切りまでさせてくれました。私は動物に対してしつこく、ベタベタ触るので、猫には大体嫌われます。でもにゃにゃ男は、そんな私が「しつこいなあ」と感じる程、彼の方からべたべたと寄って来てくれます。
2、3日姿を見せないと淋しいし心配です。私の中ではにゃにゃ男はもう家族の一員です。
こうして出会えたのには、きっと大きな理由があるのだと思います。それが何かは分かりませんが、この出会いを大切にしていきたいです。
雄猫なので、いつプイッと旅に出てしまうかも知れませんが、そんな心配をするよりも、にゃにゃ男と過ごす時間を大切にしていきたいと思います。