時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「お豆ちゃん」

10月29日にダンボールの中で50kmの車の旅をして、二ヶ月齢の一匹のメスの仔犬が我 が家にやって来ました。
私は犬が大好きです。「パク」と「伏姫」という二匹の犬と暮らしています。どちら も仔犬の時、もう少しで捨て犬になってしまう所を引き取りました。ここ数年は年取った野良犬が人生の最後の部分を、飢えることの無い自分の安 心できる居場所として私と過ごして欲しいと願って、そういう犬に巡り合ったら引き取ろうと思ってきました。ですから正直言って仔犬を引き取る つもりは無かったのです。それに色んな理由から私は仔犬が天寿をまっとうするまでの長い年月の責任を持てる自信が無くなっていたのです。
ところが、ちいさな廻り合わせが重なって仔犬が我が家にやって来ました。
段ボールの箱の中で鳴きもせずプルプル震えていた仔犬を見た時、この仔が命を輝か せて過ごす時間に私も寄り添って行けるんだと思うと嬉しく、ずっと沈んでいた心が明るくなりました。

仔犬は「お豆」と名付けました。それは今の生活を経済的に支えてくれている一つに 手作り豆腐、味噌が売れることがあって大豆に感謝していること。また自然条件の厳しい農場で、空豆、えんどう豆、レンズ豆などの豆類は自然農 法で大きく逞しく育ってくれること。今その芽が出始めていること。そしてこれから他の仲間と一緒にここで仲良く豆に暮らしていこうね!という 私の希望を込めました。

ここに来てくれてありがとう。
私の後をついて回ってくれてありがとう。
私の声を聞くだけで、しっぽをそんなに沢山振ってくれてありがとう。
素直で無邪気で元気で可愛くて・・・お豆の命の全てにありがとう。
先のことは思い悩まず、私に出来ること、私にしか出来ないことを見つけ心を込めて やっていこうと決めました。

11月 のパタゴニアは花盛り。農場では野生ランの甘い香りが林の中で漂っています。りんごの花も咲き始めました。霜や雪の被害が無ければ今年も豊作 の秋を迎えることが出来そうです。