時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「どきどきキャンプファンクラブ パタゴニア支部」

日本ではちょっと古い話題になるかもしれませんが、20日TBSで放送された「世界の果ての日本人」という番組の取材を昨年12月に受けまし た。この番組は東京圏だけの放送だったようで、私の出身愛知では放送されませんでした。
取材の経験はもちろん初めてです。メールで連絡を頂いた時、私は実現するとは思わず気軽に「私たちでよければ」と返事しました。ところがあれ よあれよと話が進み、12月14日デレクターさんとコーディネーターさんがエルボルソンに来られる事になりました。
正直私は物凄く後悔していました。私の容姿と性格を実際見たら、テレビ放送には不適で驚いて困り、不愉快にさせてしまうと想像できたからで す。それにテレビスタッフの方は傲慢で強引で振り回されてしまうという悪い偏見もありました。
ところが、どきどきキャンプさんは勿論、デレクターさんもカメラマンさんも音声さんもコーディネーターさんも本当に優しくて面白くて楽しい方 でした。みなさんお若いのに気配りもあって、一緒に過ごした5日間が夢のようでした。
取材は私たちの生活を主に、あらゆる場面を撮影されていかれました。取材対象によって違うそうですが、今回は30分放送で20時間以上のフイ ルムを回していかれました。ですから編集では、どきどきキャンプさんとのトレッキング、友人を招いてのアサード(アルゼンチン流焼肉)、露天 風呂体験。時雄の空手道場、WiFiの様子。私の陶芸、買い物風景。猫たちの様子は全てカットされてしまいました。でもその分私たちの生活や 私たち流自然農法をとても丁寧に紹介して頂いたと感謝しています。
夏には珍しく天気が悪かったのですが、最終日に快晴になり、エルボルソンの自然の美しさも伝わりほっとしました。寒い日が続き、どきどきキャ ンプさんと一緒に播いた粘土団子の発芽をやきもきして見守っていましたが、撮影最終日に発芽してくれて本当に嬉しかったです。
デレクターさんはいつも「じゃあ、自然に。」とおっしゃるだけで、これをこうして下さいとか、こう言って下さいと強制せず、質問もあらかじめ 言われずに突然だったので戸惑ってしまう事ばかりでした。いかに自分が普段物を考えずに生活しているかが分かりました。でもその分正直な自分 たちが出ていると思っています。(もちろんカットして頂いたしょうもない発言の方が多いですが)
今回の取材で私が一番感じたことは、スタッフさん全てに共通していた“プロの凄さ”でした。雰囲気を読む感覚の鋭さ、周囲への配慮、妥協しな い姿勢、好奇心の強さ、行動力と体力、そして自分の仕事への自信と責任感。私に欠けている物ばかりで、自分が何に対してもプロになれない理由 を見せつけられました。
本当に楽しい経験でした。放送されなかった多くの場面ですが、考えてみればそれは私たちの為だけの黄金の場面です。今思い出してもおなかが捩 れるほど面白かったどきどきキャンプさんの露天風呂シーン(もちろん海水パンツを穿いての撮影でした)。お二人の人柄に惚れ、私はパタゴニア に「どきどきキャンプファンクラブ」を立ち上げました。(無許可ですけど大丈夫でしょうか???)会長は私、副会長は伏姫。会員は今のとこ ろ、のうじょう真人の住人だけですけど・・・。
我が家の草の花粉症になってくしゃみが止まらず大マスクをかけていた音声さん。麦みそを気に入って下さったカメラマンさん。ジャオジャオきの ことどぶろくが大好きで、山小屋で「マテ茶」を頼んで「これどうやって飲むの?」と聞いてきた人一倍好奇心の強いデレクターさん。細身の女性 でしたが、スタッフの昼食と飲み物を一人で背負ってトレッキングした根性のコーディネーターさん。
みなさん、楽しいお話と楽しい思い出を本当にありがとうございました。遠いパタゴニアから皆様のご健康と益々のご活躍を心からお祈りしています。