時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「マテ茶の楽しみ方」

アルゼンチンには「マテ茶」という独特の飲み物があります。日本でもダイエット茶としてご存知の方も居られるかと思います。

これはパラグアイとチリ、ウルグアイの一部でも飲まれていますが、その外の南米の国は行った事が無いので飲まれているかどうか分かりません。

「マテ茶」とはマテという灌木の葉を乾燥させ大まかな粉にした物を、やはりマテという名前の器に入れお湯を注ぎ、ボンビージャと言われるストローの様なもので飲むのです。一回分は丁度一飲みの量で、順番に何回も回し飲みするのです。

このマテ茶を日本茶の様に急須で漉して飲んだり、ティーパックとして売っていたりしますが、それは「マテコシード」と呼ばれて「マテ」とは区別されています。

ブエノスアイレスなどの都会では、このマテの習慣も失われつつあるようですが、パタゴニアでは「お茶にしよう。」と言ったら「マテ」を指すくらい、生活の一部となっています。

私達も朝食は、薪ストーブで焼いた手作りパンにこのマテ茶と決まっています。マテ茶には習慣性の「マテイン」が含まれていて、一日飲まないと頭痛がすると言う人も結構いますし、反対に頭痛の時にマテを飲むと治まる事もあります。

初めてマテを飲んだ時は、「何これ!苦い!」と驚きましたが、今では「うーん、朝一番のマテは美味しい!!」としみじみ感じる様になりました。当たり前の事かもしれませんが、日本に帰った時「マテセット」を持っていって飲んだのですが全然美味しくなく、日本滞在中殆ど飲みませんでした。「マテ」はやはり南米に暮らし、その空気と水と雰囲気の中で飲んでこそ美味しいのでしょう。マテ茶の種類(メーカー)、器やボンビージャの種類も驚く程沢山あります。

地域や人によっては、薬草を入れたり、砂糖を入れて甘くしたり、粉コーヒーを入れたりする事もあります。疲れた時は甘いマテもなかなか美味しいものですし、私達は時々、農場で取れるラベンダーの花や、天然ハッカの葉を入れたりもします。

マテを飲む「マテ道」なる物もありますが、これは一緒に飲む人達に教わりながら飲んだ方が新鮮で楽しいので、ここでは紹介しません。ただし「不味い」とか「回し飲みは嫌だ」など、好意を無にする様なあからさまな態度は決してしないようにお願いします。さてさて、アルゼンチン旅行中、公園やバスターミナルなどでマテを回し飲みしている人達をみたら、きっと一度は試してみたくなるものでしょう。

「これがマテですか?初めて見ました。」などと話しかければ、「一杯如何ですか?」と気軽に招待?してくれる人は多いでしょう。でも少しだけ気を付けて下さい。

マテのお湯は沸騰させず80℃位で飲むので、水が体に合わない事もあります。また回し飲みで、ボンビージャは拭いたりしないので(そんな事決してしてはいけません。ルール違反で大変失礼な事です。)、運が悪いと風邪等をうつされてしまう可能性もあります。またマテには利尿作用があり、慣れないと飲む度にトイレへ行きたくなるかもしれません。やはり現地で友人を作り、彼らとたわいない話をしながら回し飲みするのが、一番安全で楽しい方法でしょう。

友人とマテを飲む、そんな楽しい思い出ができる旅になる事を願っています。