時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「輝く山を見て」

nojomallin2007-08-02

パタゴニアは冬。8月になって日照時間も長くなりつつありますが、それでも夕方7時には暗くなり、朝は9時ころまで日が昇りません。

アルゼンチンは典型的な夜型国民。レストランなど夜11時ころが子供連れの家族で賑わう時間ですし、コンサートなども真夜中から明け方までと言うのが一般的です。それはこの田舎町でも変わりません。

でも私達はその習慣には馴染めず、人から何と言われようとも夜も朝も早い「朝方」生活を続けています。

夏は5時頃、日の出と共に起き、夜はご近所がそろそろ夕飯の支度でも始めようかと言うまだ薄明るい10時頃には寝支度です。

そして冬は、まだ暗い7時前に起き薪ストーブの火をつけ始めます。そしてあまりに寒い夜など、8時にベッドに潜り込んでしまうこともしばしばです。

もともと私は寝るのが大好きで、学生時代でも試験勉強は一夜漬けならず、夕方から寝て明け方2時3時に起きてする朝漬けでした。勿論「徹夜」なんてものはしたことが無く、したいとも出来るとも思っていませんでした。

何時だったか日本の若者に「そんなに早く寝てしまって時間が勿体ないですよ。」と言われました。でも私は夜行性ではないので、夜は電気をつけなければ何も見えません。電気という貴重なエネルギーを使ってまで、私には起きてする事は何も無いのです。そして何よりも、朝早く起きてよかったなあ!と思うことの方が多いのです。

朝は隣人達の垂れ流す無意味な雑音は有りません。なんて静かで澄んだ時間でしょうか。

野鳥の声、雄鶏の鬨の声、犬の遠吠えだって私には心が和みます。夜の間に冷えて澄み切った空気の美味しいこと。

そして冬の早朝、最初は空がほんのり紅く染まり、次に西のアンデスの山々が山頂から徐々に朝日に照らされ雪がオレンジ色に輝く姿は、瞬きする時間も勿体ないくらい綺麗なのです。そしてその山を見ながら冷たい空気の中、犬達と歩く霜柱の道の気持ち良い事。

先が見えなくて不安になることがあっても、がっかりする事が続いた日でも、朝になると「よーし!今日も元気に頑張ろう!」と自然に思えるのです。アンデスの山が輝く、そんな朝が大好きです。