時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人の焼き物

11月26,27,28日と首都ブエノスアイレスにある、日本庭園の会場で、パタゴニアの陶芸展を、4人の仲間と共同開催することが出来ました。
日本の友人の個展(木工)の写真を見て、素敵だなあ、と思ったのが始まりのような気がします。ブエノスの先輩に「焼き物展示会を開くのが夢です」とメールを送ったら、「良いじゃないの」と返事を頂きました。普通ならそれで終わるのに、彼女は開催可能な会場を調べ、電話をし、具体的に話を進めてくれたのです。
フワフワと漂っていた私の夢が、手の届くところで形を取り始めました。
緊張と不安と期待で始まった夢の実現は、多くの方の好意と支援と励ましに支えられ、私の体を感動と感謝と感激で満たし、新たな夢の扉の前に立たせてくれました。
耐火温度が低く、もろいパタゴニアの土。
でも、火山砂、草木灰、石、松の炎、パタゴニアの自然の仲間達とのハーモニーで、息を呑む程美しく、力強い色を出してくれます。その美しさを引き出す窯焚きをしたい。土の持つ温かさが伝わる器を作りたい。
化学原料を使えば、安定した色を出すことが出来ます。そしてここアルゼンチンの陶芸はそれが当然だと考えられています。
でも、だからこそ、私達は使わずに、土から滲み出る自然の色を大切にしたいのです。
それは決して簡単な事ではありませんが、誤魔化さず、誠実に、そしてなにより大切な「楽しんで」のうじょう真人流焼き物を続けていこうと改めて思いました。
私達はのうじょう真人の自然と、多くの方々に支えられ、ここで生活させてもらっているのだと今回の展示会で感じました。それは私達の最高の財産です。