時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「ルピナスの花に埋もれて」

nojomallin2007-01-04

年末年始の、のうじょう真人を彩るのは、何と言っても「ルピナス」です。
日本で は「ルーピン」と呼ばれているのでしょうか?藤の花を逆さに咲かせた様なので「登 り藤」とも呼ばれていた様な気がしましたが。
パタゴニアの自生では無く、ヨー ロッパ移民が持ち込んだのだと思いますが、ここの気候に適していて、花の満開時期 はバリローチェからエルボルソンまでの国道沿いを見事に染め上げています。至る所 で野草の様に咲いているので、私達は引っ越してから毎年種を収穫してきては、農場 のハゲ地に緑化の為にせっせと播きました。その甲斐あって、今では花の時期の、の うじょう真人の景色は私達の自慢となっています。
昨夏は花があまり咲きません でした。今夏も初めは花の数が少なく心配しましたが、12月中からの雨に助けられて 見事な花をあちこちで咲かせてくれました。
色は殆ど紫、ピンク、白、紺の組み 合わせの2色になっています。でも当たり前の事ですが、同じ「紫」でも、その色の 濃さは全て違っています。さらに面白い事に、同じ株なのに毎年少しずつ花の色が変 わっていくのです。そして、時々思わぬ配色の花に出会い「あっ!」と驚きと感動を 覚えます。
みんなそれぞれ綺麗ですが、私のお気に入りの配色は紫に黄色。毎年 ほんの一株か二株にこの配色が現れましたが、今年は何故かまだ見つけられません。 その代わり、白地で先になるほどピンクに染まっていく花を初めて見つけ、その可憐 さに毎朝ドキドキしながら見とれていました。
先日エルボルソンの町に住む友人 が「赤いルピナス(赤は殆ど見かけません)の株を貰って来たのに、見てよ!普通の 紫の花が咲いたわ!」と怒りながら花壇を指さしました。でも私は、赤い花が咲かな かった理由が分かる気がしました。だってその株は、土も音も水も環境も違う場所に 連れて来られたのですから。
犬でも猫でも植物でも、品種改良をする事が盛んで す。人間に都合の良いように作り出されたものの「美」を綺麗と感じる前に、私はそ の毒々しさに申し訳無いような、悲しいような気持ちを感じてしまうのです。
自 然のルピナスの美しさの中を、大はしゃぎで走り回る犬達とする朝の散歩が、私は大 好きです。
最後になりましたが、2007年も皆様にとって良き年となりますよう に。今年も宜しくお願いします。