時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

エルボルソンの信号機

2022年も残すところ2ヶ月。

エルボルソンの町には観光客が増えてきました。週末や午後は町にいませんから、本当の観光地の賑わいは知りませんが、豆腐の卸などで朝町に行くだけで人と車の多さにどっと疲れてしまいます。

これから年末年始に向かってどんどん人も車も増え、国道沿いには等間隔でヒッチハイクの若者が親指を立てて並びます。夏の風物詩です。

 

以前は学校の登下校時間には、道路に交通整理のお巡りさんが立ち、手信号で車を止め児童を横断させていました。ところが交通量が劇的に増え事故も多くなったため、メイン通りに信号機が付きました。信号機のないのどかな町が好きだったので最初はがっかりしましたが、車を多少ぶつけても平気な強引なドライバーが多く、神経質で反射神経、判断力の鈍い私には、信号機は有難い存在だと分かりました。

ここは自分の従う信号機以外は見えない様になっています。でも青になったら直ぐに発進できるように、赤から一度黄色に変わります。

黄色は「注意」と、もう一つ「発進の準備をしろ」の意味があるのです。

そして最近別の場所に新しく信号機が設置されました。

その信号機が楽しいのです。

赤と青の時に数字が表示され、残り時間が後どれくらいか分かるのです。

具体的に待ち時間が表示されると、気分的に落ち着くから不思議です。これはまさしくこの信号機を発案した人の心理作戦に乗せられていると思います。

つまり私は簡単に洗脳されてしまう人種と言うことです。

 

年とともに判断力が鈍り、目も悪くなっています。本当は私の様な者は運転しないほうがいいのですが、家から町まで山道が16km。注文の豆腐を担いで歩く元気もヒッチハイクする元気もありませんし、ハイヤーを契約できるほど裕福でもありません。

家で私を信じて待っている犬達を思うと、絶対に無理せず、無茶せず安全運転で無事故で帰ろうと身が引き締まります。

 

今こうして自分の心のままに生活できる環境になって、自分に自信がついて、自分をどんどん好きになれて、感謝できることばかりがあって、不安や不満が無くなって、人生は面白いと思えるようになりました。

10年、私らしく生活してみようと思います。

10年後、ああ、濃い10年だった。暖かい思いをたくさん残せた。私の愛したものがこれからも愛され続ける。そう笑っていられる自分いようと思います。

 

農場プロジェクト。

バイオトイレが完成して、ボランティア達が使っています。今のところ問題なしです。

堆肥捨て場も作りました。有機物を発酵させ、畑に還元していこうと思います。

今はカエル池を作っています。終わったら排水の浄化設備を作る予定です。

味噌用大豆煮やジャム作り用の外窯も予定しています。

そして10年内には誰もが気軽に利用できる道場を作ります。最後に叶えたい私の大きな希望と夢です。

信号待ちも楽しいです