時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

2022年の後半の始まり始まり

えっ!

2022年も後半。凄い!

毎日特に何もしていないけど、今ここにこうして居られることが、奇跡のようで楽しくて有り難くて嬉しくてたまりません。

今年は雨の多い冬です。移住当初を思い出させてくれます。あの当時も冬は毎日雨雨雨。どこもかしこもぬかるんでぐちゃぐちゃでした。敷地の道は轍に水が流れ、農場の真ん中には小さな小川が出来ました。

乾燥化で小川はここ数年干上がったままでしたが、今は小川の流れる音が聞こえます。

ひどかった雨漏りも屋根の掃除をしてもらい治りました。

雨が時々雪に変わります。でも車で移動できないほど多くは積もりませんし、2、3日で溶けてしまいます。

雪景色はいつ見ても綺麗です。日本では珍しい山の無い雪の降らない土地で大きくなりました。人生の半分近くをここで暮らしているのに、未だに山が見えるというだけで旅行しているような新鮮な気分でウキウキします。

 

町に住んでいる移住の大先輩、今年93歳になる友人のお母さんは私が遊びに行くといつも

「時子さんは偉いね。」と言ってくれます。

その言葉の後には、「あんな不便な山奥(アルゼンチンの都会に住んでいた彼女にはそう見えるようです)に1人で住んで…。」というちょっと哀れみを合わせた気持ちの言葉が続きます。

素敵でしょ!

以前は正直反発する気持ちもありました。

「私はあそこが大好きで毎日楽しいんですよ。」と言い返したりしていました。

でも今は、素直に「ありがとうございます」と言えます。

自分が楽しんで充実しているのだから、どう評価されても全て受け入れられます。

 

日系二世の娘さんは日本語を話しますが、お母さん以外の家族とはスペイン語です。日本人の旦那さんは四年前に亡くなり、スペイン語のよく分からないおばさんは私が日本語で話す事を喜んでくれます。同じ昔話を毎回毎回話してくれます。私も毎回毎回同じ箇所で驚いたり、笑ったりします。

それは彼女の中では、毎回毎回懐かしい、楽しい、人と分かち合いたい新鮮な話題だから、私も新しい気持ちで受け取ることができるからです。

 

もう一人で料理したり出かけたり出来なくなりましたが、その余った時間を本を読んだり、川柳を作ったり、編み物をしたりしています。

先日私にプレゼントをくれました。

「恥ずかしいから家に帰ってから開けなさい」と言われ、帰ってから開けてみると

手間のかかる丸い形の綺麗に縁取りされた手作りの鍋つかみでした。

勿体無くて使えないと思ったけれど、物は使ってこそ生きるんだと思い直しました。

 

私の人生の中で宝物がどんどん増えていきます。

私も周りに暖かい思いを残していきたいと思います。

家の前から