もう1ヶ月近く山が燃えています。
2000ヘクタール灰になりました。
今朝農場で、降った灰をパラパラと見つけました。
エルボルソンの町から約25km北の村で山火事は始まりました。ブエノスでニュースになったのか、友人が心配して様子を尋ねてきました。恥ずかしい話、数日バタバタと忙しくラジオを聞かなかったので、山火事のことを友人を通じて初めて知りました。ヘリコプターの音が聞こえていて変だなあとは思っていましたが、その時はそのくらい影響がありませんでした。
連絡を貰った翌日小雨が降り、これで火事も治るだろうと軽く考えていました。
ところが火の勢いは予想以上に強く、たった半日の雨では鎮火されませんでした。
そして強風に煽られ、みるみるうちに燃え広がり、風下のボルソンの町の方へ移動してきました。この頃には一日中ヘリコプターの音が響き、人の話題も火事の事が一番になりました。
町へ行くと、快晴なのに北東にそびえるPiltriquitrón という2000m級の山が煙で霞んでいました。
日中の気温がここ数日36、37℃と言うパタゴニアでは考えられない高温になりました。けれども湿気が全く無く、炎天下では燃えるように暑くても木陰に長時間いると肌寒いと感じるのです。
山火事の影響でしょうか。
火は意図的にかもしれませんが、山を挟んでボルソンの町の裏へ進みました。町から炎は見えませんが、山の反対側では激しく燃えています。
多くの人がボランティアで山に向かい消化活動をしています。政府の援助など当てにせず、個人個人が、自分に出来る最大限の事をしています。
それでも治まる気配はありません。
天気予報も来週の土曜日までは快晴。日曜日に雨マークはありますが、翌日月曜には晴れになっています。
アサード(アルゼンチンの炭焼き焼肉)の不完全な後始末が原因のようです。これだけ乾燥した空気と雨のない旱魃の夏に、山に入って焚き火でアサードをする人が後を絶ちません。本当にうんざりします。
人はどこまで利己的で傲慢なんでしょうか。こんな人間とうまく折り合って、寛大で、優しくて、支えてくれる自然や生き物達が、耐えきれずに悲鳴をあげています。
私は現場に赴いて消化活動をすることは出来ません。でも不足している飲料水や家畜達の食べ物や燃料や地面が熱くて焼けてしまう靴の補給の援助はできます。
心から鎮火を願うことは出来ます。
犠牲になった木や生き物、全ての命に敬意を払い祈ることは出来ます。
人が生きるためにこの地球があるのでは無いと思っています。