時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

小さかった。サフランの花。

子供の頃から、大食いで甘いもの大好きでしたが、食に興味はありませんでした。

外食にはよく連れて行ってもらいましたが、ファミリーレストランや大衆食堂で、食材や調理法に凝ったお店には行ったことがありませんでした。

メニューから料理を選ぶ事が出来ず、興味もなく、注文するものは必ず「五目ごはん」でした。

高度成長期の核家族で育ち、山菜を取ったり、川で遊んだり、自然の中で体を動かしたり、感性を磨いたりする事もありませんでした。インスタント食品、冷凍食品が大好きでした。典型的長女気質の姉がいたので、台所を手伝う事もありませんでした。

今考えると、母も張り合いが無く、つまらなかったでしょう。

ですからパタゴニアへ来ても、懐かしい日本食、故郷の味が無く、食で困る事はありませんでした。味噌や豆腐を作ったり、うどんを打ったり、寿司やてんぷらをここにある材料で自分なりに大雑把に作って、それで大自己満足していました。

ですから、当然自然調味料(生姜やわさびや紫蘇や…)にも関心が無く、ハーブに至っては使い方も、名前も知りませんでした。

 

数年前から持病の関係で、菜食の食事療法を始めました。乳製品も卵も動物性タンパク質は取っていません。それで益々料理や調味料から遠ざかってしまいました。

 

先日町の友人の家に行ったら、台所いっぱい使って、サフランの雌しべを乾かしていました。

サフランは山吹色の粉になって売っているのを見たことがありましたが、花は見たことがありませんでした。

ピンセットで花から雌しべを抜き、それを紙に上に並べて、網を置いたコンロの上で根気よく乾かす作業でした。

紫色の花が山済みで、サラダにして食べられるというので貰ってきましたが、正直美味しいものではありませんでした。

サフランがどんな植物なのか興味があって、畑に案内してもらいました。

想像と違って20cmの高さもなく、とても小さく、この花を収穫するのは大変だなあ、サフランが高い訳だと感じました。

 

以前、我が家に来たアルゼンチン人の奥さんが、テーブルにあったブエノスの友人が送ってくれた生姜を見て、「これ何の球根?」と聞いてきました。その頃はまだ生姜がエルボルソンで今ほど売られていなかったので仕方ないのかもしれませんが、(へ~、生姜も知らないんだ!)と驚きました。

でもサフランの花を見て、これがそうか…と驚いた私は、スペイン人から見たら、(そんな事も知らないんだ!)と思われるでしょう。

 

知らない事は恥ずかしいことでも何でもありません。世界には私の知らない事があふれています。自分の生活に関係なくても、ちょっと周りに気を払うだけで、興味を持って観察するだけで、いろんな事が私に飛び込んできます。

素直な心で周りの事を吸収していかなきゃと反省しました。

 

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